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北嶋研究部員の「教師が育つということ」1 —春の研究集会2026報告

2026年5月10日、春の研究集会2026を行いました。

今回の集会は、深津冬惟さん(埼玉協)と私のふたりで企画し、日生連の若手世代が集う「ぼちぼちいこか若手研究会」(ぼちぼちの会)の仲間たちが登壇して語り合う、いつもと違った時間になりました。行田委員長から「画期的」と言ってもらえたのが、とてもうれしかったのを覚えています。テーマは「子どもの願いをつかめる教師に」でした。

 このブログでは、3回にわたって集会を振り返りつつ、私自身がどんなことを考えたのかを綴ってみます。参加された方々だけではなく、参加できなかった方々の関心にも響くことができたらと期待しています。

なお、今回の研究集会の概要は、日生連が編集・発行している『生活教育』にて掲載を予定しています。

 

●教師自身がどう変容したかを見つめること

 第1部は、盲学校教員である塚崎幸平さん(埼玉協)の実践報告でした。塚崎さんが、子どもとの出来事を振り返り、「一見、頑張り屋と見える。だが…」と子どもの理解を始めようとすること、それと同時に「『教員』だからという枷を着けていた」と塚崎さん自身への理解も伴っていたことが、とても印象的でした。

子どもの変容だけでなく、「教師」である自らの変容、とくに、悩みや苦しみ、迷いやためらいなどについても、これほど言及している実践記録はそう多くはありません。けれども、実践記録が教師自身のために書いているとすれば、自分がどう変容したかを見つめることは、とても重要なのだと改めて感じています。

当日の司会は、実践時に同じ学年団を組んでいた深津さん(当時は学年主任)でした。塚崎さんと深津さん、そして学年団の先生たちとのチームワークは、教師自身が変容していくための支えであったに違いありません。

今回の集会では触れられませんでしたが、「子どもとともに」はもちろんのこと、「学年や同僚の先生とともに」実践していくということも、重要な視点として浮かび上がってきました。これは「親とともに」「同僚の職員とともに」「地域の人たちとともに」と言い換えてもよいでしょう。

 

●子どもを「信じる」とは何か

 塚崎さんの実践に対して、冨田温子さん(神奈川サークル)からの「どうして、そこまで子どもを信じることができたのか」という質問は、私自身がかつて抱えていた「子どもと教師の信頼とは何か」という問題を思い出させてくれました。

塚崎さんが語った「教師ではなく人間として」という言葉は、「教師」という役割にぎゅっと身構えるかぎり、信頼は生まれないのではないかという示唆を与えてくれます。

場をひとつにする仲間(教室で、子どもたちと共にいる自分を思い浮かべるとよいでしょう)と、共に笑い、共に泣き、一緒になやんで、迷うことが〈これまでの教師〉という身構えをほどいて、〈これまでとは違った教師〉として何度でも変わっていくためのきっかけとなり得ることを学びました。

 

●「Views」がひらく見方の広がり

冨田さんに続いて、コメンテーターを引き受けてくれた寺谷直輝さん(静岡福祉大学)からも大いに学ぶことができました。寺谷さんの「Views」(子どもの表情や行動に含まれる『声』のこと)の考えは、教育実践を読んでいくときの重要な視点になると感じています。

私は、権利論や制度論に詳しくないので、子どもの意見表明権につながる「Views」の考え方を初めて知ることができました。また、この「Views(声)」と「子どもの願い」は一致していないことがあるという指摘、そして、両者のすき間に対して「仮説」を立てながら分かろうとする(理解しようとする)ことが、子どもの願いをつかむことにつながるのではないか、という問題提起は、寺谷さんとともに今後研究していきたいと考えています。

 この第1部のテーマは「子どもの声を聴き、願いをつかむとは⁉」でした。教師自身が迷い、ためらい、悩みながらも子どものことを理解しようとする行為をやめないことが、願いをつかむための必要条件であるのではないでしょうか。

(続く)

 

※私は「他者の合理性」の視点を手がかりに「理解すること」についてコメントしました。写真は、塚崎さんの実践記録において、教師や子どもの「理解が始まる瞬間」について言及したものです。



 
 
 

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