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「人として見なくなる」――映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』を観て

9月27日
読了時間: 4分

先週、日生連の沖縄集会に参加しました。

集会で戦争や平和について考えた後、私は一本の映画を観ました。


『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』(塚本晋也監督)。


ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンさんが戦場で人を殺すことになっていく様子と、戦争が終わった後も続く苦しみを描いています。ネルソンさんは、貧困や差別から抜け出すために18歳で海兵隊に入り、沖縄のキャンプ・ハンセンを経てベトナムへ向かいました。そして帰国後も、戦場での記憶に苦しみ続けます。ネルソンさんは日本全国で1200回以上の講演を行い、自分の戦争体験を語り続けた方です。

会員みなさんの中には、実際にネルソンさんの講演を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。私は残念ながら、その機会には恵まれませんでした。

だからこそ、今回、この映画を絶対に観たい、と思っていました。そして、映画を観ながら、私の頭にずっと浮かんでいた言葉があります。「人を人として見なくなる」という言葉です。


映画では、ベトナムに送られる前の沖縄で、兵士たちがアジア人を人間として見ないようにする教育を受ける場面が描かれます。「相手を人間だと思えば、殺すことをためらう。だから、人間だと思わないようにする」。そんな考え方を兵士に刷り込んでいくのです。沖縄の街で、兵士たちが沖縄の人々をまるで人間として扱わない場面も描かれます。ベトナムで人を殺すための教育が、沖縄ですでに始まっていたのです。

つい先日、沖縄集会で、沖縄の歴史や現在について考えたばかりだった私には、この場面がとても重く感じられました。沖縄は、戦争の「被害」を考える場所であると同時に、これから戦場へ向かう兵士たちが訓練されていた場所でもあったのだと、改めて考えさせられました。

もちろん、戦争には政治的・歴史的・経済的な背景があります。でも、人が人を殺すためには、目の前にいる相手を「人」として見ないことが必要になるのではないでしょうか。「敵だから」「悪だから」「自分たちとは違う存在だから」。そうやって相手を人間ではないものとして扱う。それによって、「殺してはいけない」という人間としての感覚が薄れていく。


映画を観ていて、これは戦場だけの話ではない、と思いました。学校で「ばい菌」「○○菌」などと呼ぶことも、相手を一人の人間として見ないことにつながります。身近ないじめと平和教育については、『生活教育』25年8・9月号の私のコラム「人権教育で平和教育」を参照していただければと思います。誰かを「人」として見ること。誰にでも人権があることを忘れないこと。私は、そこから平和教育を始めることができるのではないかという思いを強くしました。


さて、この映画、ぜひ皆さんにも観てほしいと思っています。


この映画は、第83回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され、「レオンチーノ・ドーロ賞(金の小獅子賞)」を受賞しました。この賞は、18歳の高校生20人が審査員となって、コンペティション作品の中から選ぶ賞です。日本映画として初めての受賞だったそうです。世界で評価され、しかも若い世代が選んだ映画です。ところが、日本では当初予定されていた上映館から、いくつかの劇場で上映が中止となり、全国での上映館はかなり限られています。配給元からは「諸般の事情」と発表されています。

私が観に行った映画館は、どの回もかなり混んでいました。「観たい人は、こんなにいるのに」と思いました。現在上映中の劇場はこちらです。→【上映劇場一覧】(上映時間等は各劇場でご確認ください)

そして、現在、この映画の全国上映とロングラン上映を求める署名も行われています。すでに3万人を超える方が賛同しています。「皆さんの近くでも、この映画を観たいと思いませんか?」映画を観た方も、まだ観ていない方も、「近くで上映されたら観てみたい」と思ったら、よかったら署名サイトを覗いてみてはいかがでしょうか。→【『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』の全国上映を求める署名】


戦争について考える映画ですが、それだけの映画には思えませんでした。「人を人として見る」って、どういうことなんだろう。そんなことを、自分の身近な生活から考えてみる映画でもあると思います。

沖縄集会の余韻が残る今だからこそ、私はこの映画を多くの方に紹介したいと思います。


(『生活教育』編集長 堀江理砂)




上映情報

 

署名先

 

 

 
 
 

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