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田村研究部長の半径3mに大切なもの見る視点 2 (続)

家族の再生は何から始まるか。


私の見立てでは、それは子どもの意見表明から始まる。阿部家にもぜひそうあってほしいと願っている。

「長女からのメッセージ文」が報道されたが、最重要と思われたのは最後の一文である。


 「この先、家族や父や私のことでSNS等でたたくといった誹ぼう中傷やさらし行為などはなかなかこのご時世、収まらないと思いますが、なるべく控えていただくことを切に希望しております。」


 直前の「なお父とはすでに仲直りをしておりますゆえ、ご安心ください」という一文と合わせて読むと、長女には本件の全体構図がよく見えているのだなと感じさせられる。一方で「すでに仲直り」にはモヤモヤ感が残った。長女一人が苦難を背負っているのではないかと危惧されたからである。


 意見表明は世間に向けてではなく、本人たちが信頼する専門職や友人、縁者に対してなされればよい。

児童相談所では福祉(児童福祉司)・心理(児童心理司)・医療(医師・保健師)の専門職がチームを組んで相談や支援に当たっている。

18歳の長女、15歳の次女、その場にいなかった長男には、両親に対して言いたくても言えなかったこと、兄弟姉妹だからこそ言えなかったことを何でも話してほしいと思う。

母親も同様である。

そうした語りの積み重ねこそが家族再生の端緒となるだろう。むろん記者会見は不要だ。


 私と4歳違いの妹は面前DV(父の酒乱とそれを引き金とする激烈な夫婦喧嘩)の中で育った。

アルコール依存症は心の病気であるため「病を憎んで人を憎まずだよ」と周囲から慰められることもあった。

父は前夜にやらかしたことを翌朝には忘れていた。

おとなしい元の性格に戻り、世間体のよい両親を演じていた。

子どもらは暴言に傷つき、豹変に疲弊し、再来に怯えていた。


 脳科学者の友田明美氏は、子ども時代に言葉の暴力を繰り返し浴びることで、脳の発達に悪影響が及ぶ恐れがあると警鐘を鳴らしている。

シナプスの刈り込みが十分に進まず、脳が雑木林のような状態になることで、知能や理解力の発達に影響が生じるというのである。

なかでも「DV目撃と暴言による虐待の組み合わせ」のほうが、身体的虐待やネグレクトを受けた人よりもトラウマ症状が重篤になるという指摘には驚かされる。


 私にとって家族の団らんは嵐の前の静けさだった。

常に厳戒態勢を敷き、災害発生時には真っ先に仲裁に入るのが習慣となっていた。

その結果、危機を予測する力は鍛えられたかもしれない。

その一方で自分の言い分を飲み込み、素直な感情表現を抑制し続けるうちに、自分が本当に何を願っているのかがわからなくなっていったように思う。

私は18歳の大学入学時に家を脱出することができたが、残された妹には苦難が続いた。そして世の中にはさらに重篤なトラウマ症状に苦しむ人々がいる。


 子どもの意見(Views)を形成するプロセスこそ探究の焦点である。子どもの意見表明権の保障とその前提となる安全な表出環境の構築、援助要請と自己表出を励ます介入と援助方法の充実が課題となっている。


(最近茶髪になった田村)

 
 
 

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